FLOW-3D による風力発電解析
1.はじめに
再生可能エネルギーの一つである風力発電は1990年代以降、導入が急増しています。エネルギー効率、出力安定性、環境への影響などの面で、その技術開発は近年特に注目されており、性能向上が図られています。風圧を受けてブレードが回転する機構のため、風車を解析するに当たり、 FLOW-3D の一般移動障害物を適用することができます。ブレードには回転軸、質量を与え、流動と連成して解析を行います。繊細なブレード形状は流動場における風圧、せん断力が適切に評価できるよう精度良く再現する必要があります。 FLOW-3D のFAVORTM機能では回転移動するブレード形状を正確に捉えるため、信頼のおける評価が行えます。ブレードの厚み、角度、長さ、ピッチなど、設計に必要な最適な条件を FLOW-3D による解析で検討することができます。
2.シミュレーション(ブレード角度の違いによる風車出力の変化)
図1に示すような風力発電機(ロータ径30 [m]、高さ 30 [m])のシミュレーションを行います。
この風力発電機においてブレード角度を30°および45°、60°に変更した3パターンについて解析します。物理モデルについては、Gravity(重力加速度9.8 [m/s2])とMoving and simple deforming objects(風車: Coupled Motion、密度1950 [kg/m3])、Viscosity and turbulenceを選択します。シミュレーションは50 [s]まで実行し、風は境界から一定速度(10 [m/s])で流入させます。
3.シミュレーション結果(ブレード角度の違いによる風車の出力の変化)
図2にシミュレーション結果を示します。
また、ブレード角度に対する回転速度および風車の出力を図3と図4に示します。
これらの結果からブレード形状によりエネルギー効率が変化することが分かります。
4.シミュレーション(風速の違いによる風車出力の変化)
次にブレード角度を60 [°]で固定とし、風速を7 [m/s]および10 [m/s]、15 [m/s]の3パターンに変更して解析を行います。その他の解析条件は前節と同様です。
5.シミュレーション結果(風速の違いによる風車出力の変化)
図5に風速に対する回転速度、図6に風速に対する風車の出力を示します。
一般に風車の出力は風速の3乗に比例しますが、これらの結果からも分かるようにシミュレーションにおいてもその相関が確認できます。
提供:三重大学 高木 優斗様・株式会社フローサイエンスジャパン
参考文献
[1] 三菱重工 風力講座, https://www.mhi.co.jp/products/expand/wind_kouza.html
[2] 日本海事協會會誌 (262), 1-12, 2003
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