FLOW-3D Japan Users Conference 2012 開催報告
10月26日(金)東京国際フォーラム(ホールD5)にて『FLOW-3D Japan Users Conference 2012』を開催致しました。
お陰様で今年は過去最多120名様以上の参加申込みを頂戴しました。幸い当日の天候も良く、多くのユーザー様にご来場いただき、弊社代表取締役の丸湾とFlow Science社Jensen社長の挨拶でカンファレンスを開会致しました。丸湾からは、業務拡大に伴う、来年2月の事務所移転をご案内しました。
特別講演
電源開発株式会社 審議役の喜多村様に『水力発電工作物評価における数値実験と物理実験の役割』と題してご講演いただきました。巨大なダムの流入部や越流部などには様々な水理問題が存在し、FLOW-3Dを用いた数値実験と縮小模型による物理実験を上手く使い分けることで、対策を講じていらっしゃるとの事でした。数値実験は「経済的で物理実験では不可能な条件も可能」とのご評価をいただきましたが、現状では流体シミュレーションでは解析できない事象も存在するため物理実験はまだ欠かせないそうです。実存する工作物とシミュレーションとの比較や実際に施した対策など普段では見ることが出来ない貴重なご発表でした。
Flow Science社からの発表
①新バージョン10.1ソルバー新機能
Flow Science社のBarkhudarov副社長より、間もなくリリースが予定されているV10.1以降のソルバー新機能について説明がありました。FSI/TSEでの塑性変形、浅水モデルと3Dモデルのハイブリット、ポーラスメディアのGMO化、スプレー冷却など、多くの機能が追加される予定です。
②新バージョン10.1 GUI新機能
Flow Science社のDitter副社長より、V10.1以降のGUI開発計画について説明がありました。NavigationタブとSimulationタブの統合、Meshing/Geometoryタブでのツリー構成の見直しとカスタマイズ可能なウィジェット化などが発表されました。
ユーザープレゼンテーション
①『Mgカメラ部品に対しての流動解析の活用』
三井金属鉱業様から、マグネシウム合金のダイカスト製品について、FLOW-3D CASTを用いた流動・湯流れと凝固の解析事例をご発表いただきました。実際の鋳造結果と解析結果の比較では良好な結果が出たとの事で、方案設計等にお役立ていただいております。
②『流体物性計測装置の開発にともなうFLOW-3D活用例の紹介』
東京大学生産技術研究所酒井研究室様では、1cc以下の試料から粘度を正確に測定できる粘度計など、ナノサイズ液滴の制御技術や、それらを用いた計測技術を研究されていらっしゃいます。計測装置の開発過程においての、FLOW-3Dを用いた微小液滴の挙動解析や、GMOによる微小球の回転運動解析などの事例をご発表いただきました。
③『重力鋳造解析の予測精度向上への取り組み』
KYB株式会社様より、FLOW-3D CASTを用いたアルミ材の鋳造シミュレーション事例をご発表いただきました。熱サイクル解析における冷却制御や当時FLOW-3Dにはまだ組み込まれていなかったピンホール予測などの機能をカスタマイズで構築し、基礎データと比較して精度を高められた貴重なご経験を披露いただきました。
④『累積疲労損傷則を用いたプランジャチップ形状最適化』
三重大学メカトロニクス研究室様には、ダイカストのプランジャチップ形状の最適化事例をご発表いただきました。繰り返しの使用で生じる損傷を構造解析と累積疲労損傷則から予測し、FLOW-3Dで解析した空気取り込み量とあわせて評価することで、形状を最適化されたそうです。
⑤『航空エンジン補機駆動ギヤボックスの流動損失低減とオイル排出改善』
川崎重工業株式会社様より上記題名によるプレゼンテーションをいただきました。実験とシミュレーションを比較され、シミュレーションが実験では見えないところを可視化するのに役立っているとの事でした。今回と同様の発表によりアメリカ機械工学会(ASME)で賞をとられたそうです。また発表の最後にはFLOW-3Dに対するリクエストをいくつかいただきました。
フローサイエンスジャパンの開発
①『FLOW-3Dにおける個別要素法の適用』
弊社技術部の馬場より、現在開発中のDEM(個別要素法)とFLOW-3Dの連成解析を紹介させていただきました。FLOW-3Dの標準機能では、粒子は単なる質点であり、接触は無視されてしまいますが、DEMでは粒子-障害物/粒子-粒子間の接触、衝突、摩擦などを考慮することが出来ます。砂型の吹き込み、撹拌、溶質挙動、スラグや炭酸のモデル化など幅広い応用が期待されています。
②『地形データ作成・変換ツールTopo2StlならびにFLOW-3DビューアFLOW-VUのご紹介』
弊社技術部の根本より、現在開発中のTopo2Stl(地形データ作成・変換ツール)と、FLOW-VU(解析結果ビューア)を紹介致しました。開発中のバージョンを操作デモでご覧いただき、機能・使用例・使いやすさなどをご確認いただきました。FLOW-VUはベータ版を当日配布致しました。
その他、今年行われたヨーロッパユーザーカンファレンス(ミュンヘン)とワールドユーザーカンファレンス(サンフランシスコ)について、参加した弊社技術者からレポートを発表致しました。
カンファレンス終了後の懇親会は、ホールD5ロビーでの立食会とさせていただきました。移動がないこともあり、例年以上に多くの方にご参加いただき、和やかな雰囲気のうちに交流を深めていただけたかと存じます。
我々スタッフ一同も、皆様よりFLOW-3D/FLOW-3D CASTへのご期待の声、ご要望を多数頂戴し、身の引き締まる思いでございます。
今年も多数の皆様にご参加いただき、改めて感謝致しますとともに、当日ご発表いただきましたユーザー様にこの場を借りて御礼申し上げます。これからもFLOW-3Dを少しでもよくお使い頂けます様、サービスの向上・独自の開発に力を入れてまいります。今後ともよろしくお願い申し上げます。
なお、当日配布資料(CD)をご希望の方はお問い合わせフォームより配布資料希望の旨ご記入いただきお申込みください。
【FLOW-3D Japan Users Conference 2012 開催概要】
日時:2012年10月26日(金) 10:00~17:45 懇親会 18:00~19:30
場所:東京国際フォーラム ホールD5 (懇親会 ホールD5エントランス)
主催:株式会社フローサイエンスジャパン
プログラム
9:30 | 受 付 (東京国際フォーラム ホールD5) | ||||||||||||
10:00 | 開 会 | ||||||||||||
10:00~ | ご挨拶
株式会社フローサイエンスジャパン 代表取締役 丸湾 ラエド
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10:10~ | ご挨拶
Flow Science Inc.社長 Thomas S Jensen
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10:20~ | 特別講演 「水力発電工作物評価における数値実験と物理実験の役割」
電源開発株式会社 土木建築部 審議役 喜多村 雄一 様
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11:00~ | FLOW-3D新バージョン10.1ソルバー新機能
Flow Science Inc. 副社長(ソルバー開発担当) Dr. Michael Barkhudarov
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12:00~ | 昼食(当社でご用意いたします) | ||||||||||||
13:00~ | FLOW-3D新バージョン10.1 GUI新機能
Flow Science Inc. 副社長(GUI開発担当) John L. Ditter
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14:00~16:30 |
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16:30~ | FLOW-3D-フローサイエンスジャパンの開発①FLOW-3Dにおける個別要素法の適用
株式会社フローサイエンスジャパン 技術部 馬場 周平
②地形データ作成・変換ツール Topo 2 Stl ならびにFLOW-3Dビューア FLOW-VU紹介 株式会社フローサイエンスジャパン 技術部 根本 泰則
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17:10~ | FLOW-3D European Users Conference2012/FLOW-3D World Users Conference2012ご報告
株式会社フローサイエンスジャパン 技術部 馬場 周平・技術部 原田 昌人
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17:30~ | 質疑応答 | ||||||||||||
17:45 | 閉 会 | ||||||||||||
18:00~ | 懇親会 (ホールD5エントランスにて) |