FLOW-3D European Users Conference 2015のご報告


FLOW-3D European Users Conference 2015のご報告(2015年6月1日~3日)

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今年のヨーロッパユーザーズカンファレンスはフランス、ニースで開催されました。当社フローサイエンスジャパンからは丸湾、馬場、田嶋が参加しました。エールフランス航空を利用して、成田―パリ-ニースと移動して、心配だった入国審査もすんなり通れました。到着は夕方で、涼しく過ごしやすく感じました。現地ではピザが人気らしく、その日の夕食にナポリタンを注文したらピザが出てきたのには驚きました。

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観光地としても有名なニースは人々で賑わっており、また綺麗な街並みでした。ニース城跡から、ニースの街並みと海を一望できます。市内を散策すると、観光名所がいくつも有りました。写真のモニュメントは、ニースの中央図書館のモニュメントらしいです。

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6月1日(月) FlowSightTMトレーニング

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この日は午後より初級中級者向けのFlowSightTMのトレーニングがありました。いくつかの例を交えながら、FlowSightTMの特徴とワークフローの説明がありました。

6月2日(火) ユーザーズカンファレンス1日目

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フローサイエンス社(以下、FSI)のJensen社長から開会のご挨拶からカンファレンスが開始致しました。今回は2日間で発表数は21件になりました。

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FSI副社長のBarkhudarov氏からソルバー開発の説明がありました。今後も多数の新機能が追加される予定ですが、魅力的な新機能の一つとして、プローブの時間依存のイベントをコントロールすることができる機能についてご報告がありました。例えば、高圧ダイキャスト充填中の高速射出への移行を湯口に到着する溶湯と同期することが可能になります。また、配置されたプローブによって注入口の流れをコントロールすることができます。他にも鋳造向け機能として、GMOによる製品のヒケを押しつぶすピンモデルや、従来では流入を速度で制御していたものをプランジャーによる力で制御できるようになる予定です。サーマルダイサイクルモデルの精度と速度の改善、P-Q2線図を利用した射出スリーブプランジャーの運動の指定も可能になります。水理の分野では、現場の計量に基づいた深さと流量に関連付いた流量曲線によって新しく水圧の流量/流出境界条件が改善される予定です。

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オーストリアの鋳物研究所から、小型鋳造試験プラントの数値シミュレーションと開発についてご報告がありました。基板合金上に溶湯を流し込む解析内容で、モデル化の方法はいくつか考えられますが、1流体+コンポーネント(基板合金)が最も適切なモデル化だと結論に至りました。

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イタリア、CM社からは、重力ダイキャスト工程の鋳物漏れの調査についてご報告でした。CM社は重力ダイキャストの鋳物メーカーです。鋳物の不良の問題に直面した際、技術者の経験とFLOW-3Dによって、溶湯漏れの原因を質量分布による過度な応力と変形のためだと素早く判断することができたとの報告でした。

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FSIから、ユーザーインターフェイスについてご報告がありました。FLOW-3Dのインターファイスは、ユーザーの使いやすさのために大幅に改善されてきました。今後、レポートの生成、ポストプロセッシングの自動化、ワークフローをより良くコントロールすることをテーマに、インターフェイスを充実させていくということでした。

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オーストリア、ウィーン工科大学から、用水路の端の斜面における波の伝達と反射を観測するための実験とシミュレーションについてご報告がありました。実験とシミュレーションの結果は良く一致しておりました。

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イギリス、Minerva Dynamics Limited社から、波力発電機の数値シミュレーションについてご報告がありました。発電機の形状は軸対称で、洋上で極端な波が生じたときの発電機の挙動を解析していました。模擬実験との比較より良好な結果が得られておりました。

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スペイン、CIE Automotive社から、圧力制御弁のシミュレーションについてのご報告がありました。この研究では、計算効率の向上のためのカスタマイズを利用し、ストッパーの運動と開閉時にスプリングに働く力に注目していました。CO2の削減のため、このような圧力制御弁の研究は重要になります。

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イタリア、Barbalabエンジニアリング社からは、流体-構造連成による往復動圧縮機のシリンダーの熱流体力学的デザインについてご報告がありました。デザインを改善することで、圧縮機のピストンを動かす消費エネルギーを4%減少させることに成功したそうです。

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オーストリア、Reutter社からは、給油の充填、スロッシング、フィルター付き給油ノズルのシミュレーションに関するご報告でした。給油の充填問題では、2種類の給油ノズルによる流動の比較が行われておりました。また、動画を使ったパフォーマンスが好評で最優秀の発表に選ばれました。

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ドイツ、Bremen大学からは、微小重力下でのタンク内にある液体水素の挙動に関するご報告がありました。FLOW-3D ver.11の1流体と2流体モデルで、タンク内の液体水素のスロッシング解析を行い、自由表面の挙動を実験と比較していました。この研究では、1流体モデルの解析の方が良好な結果が得られたそうです。

6月3日(水) ユーザーズカンファレンス2日目

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2日目、弊社の発表から始まりました。丸湾より弊社で開発を行っているレーザー溶接モジュールの進捗と開発計画、解析事例を報告いたしました。また、弊社開発製品の構造解析インターフェイスF.SAIの次回新機能についても報告いたしました。

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ドイツ、Roche Diagnostics社からは、調剤プロセルのCFDモデリングについてご報告がありました。調剤プロセスでは自由表面を正確に追うことが重要です。実験結果を合わせて、FLOW-3Dのいくつかの適用例を紹介されていました。

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イタリア、Teksid Aluminum社からは、最適なラドルの形状の選別についてご報告がありました。酸素の巻き込みを最小限にする動きとラドルの最適な形状を識別すること目標としており、本研究では伝統的に使用しているラドル形状について解析を行っておりました。

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Flow Science Deutschlandからは鋳造産業に関する開発過程におけるシミュレーションの活用についてご報告がありました。主に自動車部品の高圧ダイカストの解析事例を紹介されておりました。

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イタリア、Protesa社からは、HDPE(高密度ポリエチレン)の押し出し成型についてご報告がありました。押し出し機内のHDPE液のシミュレーションによって、チャネル内の圧力の発達、速度分布、せん断速度などを評価しておりました。その結果から最適化した試験品を作成しているそうで、現在検証中とのことでした。

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イタリア、MDA社からは、自給式ポンプの多相過渡解析についてご報告がありました。気泡と液体、タービンの激しい連成運動により複雑な流動が生じるため、高い計算負荷が問題となるとのことでした。

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チェコ、Poyry Environment社から、チェコのMOHELNO貯水地の3D数値モデリングについてご報告がありました。この貯水池は、揚水式水力発電所から水を流出させるため24時間で12m程水位が変動します。原子力発電所の冷却水としても利用されているので、原子力発電所を中心に温度分布が形成されます。数値解析により貯水地の流れを解析することは、水質の改善に役立てるために重要になります。

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ポーランド、Wrocław工科大学からは水理関係で突堤周辺の流動解析に関するご報告がありました。LESモデルとRANSモデル、マルチブロックの設定による比較が行われておりました。解析対象に適切なモデルを設定することが重要だと改めて感じました。

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ポルトガル、Lisbon大学より階段状の放水路を持つダムの越流に関する解析及び水理実験のご報告がありました。需要が増加している階段状の放水路での流れ特性を調べることは重要です。空気巻き込みが生じる箇所や境界層の発達を水理実験の結果と比較し、良好な結果が得られていました。

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イタリアの代理店、XC Engineering社からは、標準FLOW-3DとGMOモデルを利用してギアの運動を再現できるFLOW-Meshのご紹介がありました。FLOW-Meshを利用することで、ギアボックス、タイミングベルトやチェーンなど複雑な系を簡単に作成することができるようです。

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最後にFSIの副社長Barkhudarov氏による大変活発な質疑応答が行われ、今回のカンファレンスも盛況のうち終えることができました。今後、カンファレンスで得られた情報を日本のユーザー様のサポートでお役に立てれば幸甚に存じます。

文責:技術部 田嶋

 

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