FLOW-3D は、2010年に創立30周年を迎えたFlow Science社(米国)で開発されている汎用3次元CFDソフトウェアです。大多数の市販CFDコードが自由表面流れを取り扱えるようになってきたのが1990年代後半(実質2000年以降)からであるのに対して、 FLOW-3D は1985年の初期リリース版の時点で既に3次元自由表面流れを精度良く取り扱えるCFDコードとしてリリースされました。これは他の市販CFDコードには無い大きな特長の一つとして挙げられます。
従って、 FLOW-3D は自由表面流れの分野において、他の市販CFDコードと比較すると実績面においても十年以上の開きがあるために、インクジェット、コーティング、タンクスロッシング、水理・環境工学、あるいは鋳造湯流れ等の自由表面流れを取り扱う問題に対しては、世界最高水準にあるデファクトスタンダードな位置づけのCFDコードとして今日に至っています。
FLOW-3D は、ALE法、VOF法、SOLA法、FAVOR法、あるいは安定性解析手法など多くの数値法の開発やCFD研究で功績のあるC.W. Hirt博士(Flow Science社の創立者)が創始者として開発したCFDソフトウェアです。Hirt博士は、米国Los Alamos国立研究所の理論研究部、T-3研究室(理論流体力学研究室)の室長を務めた数値解析を専門とする科学者です。このT-3研究室は、特に1950年代後半~80年代前半にかけて、MAC法やVOF法等をはじめとする革新的な数々の技術を開発し、今日使用されているCFDに関する多くの基礎・基盤技術を世に送り出したことで知られています。それら研究成果の代表的なものを下記に列挙します。
-
自由表面を表現するための技術:MAC法,SMAC法,SOLA法,VOF法,etc
-
圧縮性-非圧縮性流動問題の両方を解く技術:ICE法
-
格子と幾何形状の新手法:PIC法,FLIC法,スタガード格子,ALE法,etc
-
その他:k-εモデル(乱流モデル),渦度-流れ関数法,PAF法,etc
-
派生コード:SOLAシリーズ,SALE,RICE,K-FIX,KIVAシリーズ,etc
FLOW-3D は、このT-3研究室における数々の研究成果が盛込まれている市販の汎用CFDソフトウェアであり、優れた数値スキーム・数値モデルをベースとしたハイエンドソルバを有しています。