Ver.2022r1 – 新機能


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FLOW-3D What’s New Ver.2022r1

FLOW-3D Ver.2022R1には、カットセルの詳細な表現手法であるFAVORTM法の拡張、解析テーマ毎のシミュレーション用にデフォルト設定されたテンプレート、液滴/気泡ソースの移動表現、新規モデルとして軸流ポンプモデル、アクティブシミュレーション制御機能の拡張、および2つの独立変数に基づく複雑な依存関係を有する物性指定を可能とする表形式データ設定などが装備されています。また、VOFから粒子へ変換する追加の数値機能により、微小分散する流体領域の質量保存を改善しています。合理化を進めたGUIの改善には、再設計された物理ダイアログ、出力ウィジェットおよび幾何形状ウィジェット、そして刷新された初期条件ウィジェットにより、さらに簡単に、素早く、そして間違わずにシミュレーション設定することができます。

詳細なカットセル表現–FAVORTMの改良

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FAVORTM法は、通常のデカルト格子上における面積率と体積率を使用して固体幾何形状を表現する手法です。FLOW-3Dはこの手法によって、構造化されていない物体適合格子に頼ることなく、複雑な幾何形状を通過する流れやその周辺の流動を効率的にシミュレーションできます。FAVORTM法は、計算上の大きな利点を多く保有していますが、一つの課題として、固体表面に沿った壁せん断応力の計算にノイズが発生する場合が挙げられます。詳細なカットセル表現と呼ばれるFAVORTM法の拡張により、壁せん断応力の計算が大幅に改善され、固体表面近傍の解が改善されました。

表形式の物性入力

粘度や表面張力などの材料物性は、温度、密度、ひずみ速度などの流体条件、あるいは汚染物質濃度などを表すユーザ定義のスカラ量に依存する可能性があります。これらの物性を関数形式で適合させる場合(特に、物性が複数の独立変数に依存する場合)、しばしば複雑なカーブフィッティングが必要になります。FLOW-3Dの新しい表形式の物性入力機能を使用すると、ユーザは最大で2つの独立変数を用いた流体物性を表形式で定義できます。例えば、表面張力を実験データから表形式にして汚染物質の濃度と温度に依存する複雑な非線形性を表現する、あるいは粘度を実験データから表形式にしてひずみ速度と温度の依存性を表現するなどが可能になります。ユーザは、表形式物性ダイアログにおいて1つまたは2つの変数に対する依存関係を入力することができます。

Tabular_Properties

粘度は、固形分(密度)とひずみ速度の両方の関数として定義されています。この例では、時刻ゼロにおいて密度の高い沈降した流体領域とその上側の澄んだ水で層状を成す静止貯水池内に、密度の高い流体領域が滑り落ちる様子を表しています。

tabularproperties-1

このダイアログでは、表形式物性の入力機能を用いて、粘度をひずみ速度および温度の関数として定義する方法が示されています。粘度を3水準の温度に対するひずみ速度の関数とした表形式の値はグラフ化され、ダイアログの右側に表示されています。

拡張されたアクティブシミュレーション制御

アクティブシミュレーション制御(ASC)は、プローブにおける流体情報に基づいてシミュレーションを制御することに大変役立ちます。このリリースでは、ASCが拡張され、一般的な時刻歴データ、フラックスサーフェス、およびサンプリングボリュームからの流体情報に基づく制御機能が追加されました。

ポイントプローブに対するフラックスサーフェスおよびサンプリングボリュームの利点の1つは、点の情報に基づくのではなく、面または体積全体で平均化された情報を得られることです。状況によっては、面および体積に基づく情報を用いることが、シミュレーション対象となる動作をより適切に表現できる場合があります。

この新機能によって、ユーザは以下のことが可能です。

  • コントロールボリュームの温度が限界値を上回る、または下回る場合にシミュレーションを終了する。
  • サンプリングボリューム内の乱流エネルギに基づいて、ノズルからの充填率を制御する。
  • フラックスサーフェスの平均速度に基づいて出力頻度を制御する。
  • サンプリングボリュームの充填率がユーザ指定値に達した時点でシミュレーションを終了する。
  • CryogenicsPumpPressurization

    この例では、極低温タンク供給パイプ内のポンプ(黒みがかった色の長方形)が、一定流量で推進剤タンクから液体酸素を引き出していきます。液体酸素が排出されてアレージ内の圧力が指定値を下まわった時、アクティブシミュレーション制御によって質量・運動量ソース(上部の灰色の横棒)がオン(発動)になります。アレージ圧力が指定値を上回った時、加圧はオフ(停止)になります。

    VOFの粒子変換

    FLOW-3Dの明確な界面追跡手法であるVOF法の精度とロバスト性は、流体粒子と組み合わせることで強化されました。新しい粒子種であるVOF粒子が導入され、計算領域内の流体リガメントや液滴を追跡し、流体の体積および運動量をより適切に保存します。重力制御過程では、より大きな時間ステップサイズが可能となることも期待できます。VOF流体は、特定の条件が満たされたときに、特定の時間と場所で自動的にVOF粒子に変換されます。次に、ラグランジュ粒子モデルを使用して粒子の動きが計算され、流体に再び入ると、粒子はVOF表現に変換されます。

    vof-to-particle-flow3d-2022r1

    軸流ポンプモデル

    PumpAxialModel

    FLOW-3Dの新規モデルである軸流ポンプモデルを使用すると、ユーザはシミュレーションで軸流ポンプの正味の効果をモデル化できます。ポンプ動作に関しては2つのオプションがあります。一つ目のオプションは、流体が指定された速度で移動するように、ポンプを通過する体積流量または流速のいずれかを規定できます。このオプションは、ポンプの運転流量が既知の場合に適しています。二つ目のオプションは、ポンプの性能曲線に基づいたポンプ運転を完全に定義する場合に適しています。この場合、ユーザはポンプの性能曲線を線形近似で定義して、ポンプの通過流量がポンプ全体の圧力降下に依存するようにできます。この構成では、ポンプの一般的な運転を表現できます。それ故、逆方向の動水頭が構築されてポンプの運転動作に逆らうと流れは遅くなり、最終的には失速する様子を表現できます。

    GUI内のファン/インペラ コンポーネント

    GUI内のファン/インペラ コンポーネント

    GUI内の軸流ポンプコンポーネント

    GUI内の軸流ポンプコンポーネント

    液滴/気泡ソースモデル

    ユーザインタフェース内の液滴/気泡ソースの設定

    ユーザインタフェース内の液滴/気泡ソースの設定

    開発当初から、FLOW-3Dはノズルやその他のオリフィス形状から吐出される液滴をモデル化して、表面張力の作用下で変化する流体形状をシミュレーションすることに使用されてきました。ただし、液滴が基板に与える影響が重要であることから、液滴がノズルを離れるときの液滴形状をシミュレーションする必要は無い場合もあります。さらに、流体中の気泡輸送をモデル化することは重要かもしれませんが、初期気泡は必ずしも重要とは限りません。新規の液滴/気泡ソースモデルは、このような場合に役立ちます。

    新規の液滴/気泡ソースモデルでは、球形状の液滴または気泡を点ソースから定義された間隔で吐出できます。このソースは静止している、あるいはソースの移動を表形式で定義することができます。液滴または気泡の初速度も3次元で定義できます。このモデルは、全ての物理モデルと互換性があるので、一般的な適用問題(例えば、多孔質体内の流れ、蒸発/凝固、および表面張力など)のシミュレーションで併用することができます。

    DropletGenerationPorousMedia

    この例では、液滴ソースが円形を成すパターンで移動し、多孔質体へ向けて液滴を10 [m/s]の速度で下向きに吐出し、円形模様を形成しています。

    シミュレーションのテンプレート

    GUI内の新機能 シミュレーションのテンプレート

    GUI内の新機能 シミュレーションのテンプレート

    新規に導入したシミュレーションのテンプレートは、自由表面を持つ1流体非圧縮性流れや、2流体圧縮性シミュレーションなど、重要なパラメータを事前設定した特定モデル用の雛形を提供します。新しいシミュレーション作成時に、FLOW-3Dで最も一般的にモデル化されるケースをカバーする6つのテンプレートから選択可能なダイアログが表示されます。オプションの‘None’を使用すると、上級ユーザが特殊な数値設定を適用し易い白紙の状態から始められます。テンプレートの使用は、モデルの設定工程を迅速化するための便利な方法であり、ユーザが間違いを犯したり、パラメータ定義を忘れたりするのを未然に防ぐことに役立ちます。

    追加のソルバ機能

    追加のソルバ機能には、非ニュートン流体のHerschel-Bulkleyモデル、微小分散する流体領域の質量保存を改善するための液体から粒子への変換、そして連行空気の体積率と溶質濃度に対する複数のイベントアクションとイベントオプションのサポートを含む拡張された質量・運動量ソースのプローブイベントが含まれています。

    Herschel-Bulkleyモデル

    Herschel-Bulkleyモデル

    アクティブシミュレーションの質量・運動量ソースのイベント

    アクティブシミュレーションの質量・運動量ソースのイベント

    GUIの改善

    WSIWYN設計アプローチを使用して合理化されたGUIの改善には、再設計された物理ダイアログと初期条件ダイアログ、および再設計された出力ウィジェットと幾何形状ウィジェットが含まれています。新しいGUIを使用することで、より簡単に、素早く、そして間違わずにシミュレーション設定をできるようになります。

    初期条件ウィジェット

    初期条件ウィジェットは、より簡単に、素早く、初期の流体(液体)と気体(ボイド)領域を設定できるように改善されています。新デザインでは、global、region、およびpointer objectsが別々のタブに配置されているので、設定表示がより明確になりました。

    初期条件 ‐ 領域

    初期条件 ‐ 領域

    初期条件 ‐ 静水圧

    初期条件 ‐ 静水圧

    初期条件 ‐ ポインタ

    初期条件 ‐ ポインタ

    出力ウィジェット

    再設計された出力ウィジェットにより、シミュレーション結果ファイルで使用できる出力を正確に確認できるようになります。そして、restartデータとselectedデータの出力は、一つの明確な簡潔表示になっています。

    再設計された空間データの出力ウィジェット

    再設計された空間データの出力ウィジェット

    出力ウィジェット‐幾何形状データ

    出力ウィジェット‐幾何形状データ

    空間データの書き込み時に出力を強制する、即ち、時刻歴データおよび空間データの同期出力を設定可能。

    空間データの書き込み時に出力を強制する、即ち、時刻歴データおよび空間データの同期出力を設定可能。

    対話式で幾何形状を作成/編集

    対話式による幾何形状の作成と編集は便利になっていて、次の機能が含まれています。

  • 回転、移動、およびリサイズなどの新しい対話式ツールを選択できる。
  • 回転、移動、またはリサイズの動作アイコンをクリックすると入力モードに入り、修正する幾何形状を選択する。
  • 上矢印アイコンをクリックするか、ESCキーを押すと、ユーザは通常の選択モードに戻る。
  • InteractiveGeometryCreation

    幾何形状ウィジェット

    幾何形状ウィジェット

    幾何形状ウィジェット

    幾何形状ウィジェットは、様々なプロパティグループを組み合わせて関連するアイテムを一緒に配置するWYSIWYN設計アプローチを使用しているので、より簡単に、素早く操作できるようになりました。

    ヘルプに簡単アクセス

    関連するドキュメント、チュートリアル、およびヘルプダイアグラムに直接アクセスできるようになり、物理ダイアログ内で簡単にクリック表示できます。

    物理ダイアログ

    物理ダイアログ

    合理化された物理ダイアログ

    物理ダイアログの多くは合理化されているので、ユーザはシミュレーションをより素早く、間違いを軽減して設定を進められます。

    気泡および相変化モデル

    気泡および相変化モデル

    空気連行モデル

    空気連行モデル

    ドリフトフラックス モデル

    ドリフトフラックス モデル

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