生 コンクリート のシミュレーション ~ スランプ試験の解析による物性推定とミキサー車の解析 ~
背景
コンクリート ミキサー車の高性能化および開発コスト削減のため、生 コンクリート (以下、生コン)の物性や排出性能、混練性能等、設計に必要な性能を予測できる解析ツールが必要である。そこで、スランプ試験結果とFLOW-3Dの解析結果を比較して生コンの物性を決定した。更に、シミュレーションと品質工学手法を併用し、排出性能に対するドラム設計寸法の影響を検討して最適形状を求めた。
スランプ試験とは
スランプ試験とは、凝固前の生コンの流動性を評価する手法である。スランプコーンと呼ばれる試験用の入れ物に生コンを入れ、垂直にスランプコーンを抜き取り、 コンクリート 頂部の落差を測定する。スランプ値が大きくなるにつれて流動性は高くなる。
※スランプ値 [ cm ] = 変形前高さ [ cm ] – 変形後高さ [ cm ]
スランプ試験解析条件・解析モデル
解析モデル:実寸の1/4モデルで解析を実施 |
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スランプ試験解析結果
条件1による解析結果は、実際の生コン挙動およびスランプ値と良好に一致した。
コンクリート ミキサー車解析モデル
解析モデルとなるドラム形状はパラメトリックな寸法変更が行えるよう簡素化した。また、壁面はメッシュにて解像できるよう、肉厚を実物の15倍程度に設定した。
コンクリート ミキサー車解析結果
ドラム形状の主要寸法6か所を含む設計パラメータをL18直交表に割り付けて複数のシミュレーションを実施した。右下図は生コン流動挙動の一例である。因子の組み合わせを排出性能に特化させた場合、排出性能を4倍にできる事を確認した。
まとめ
- FLOW–3Dを用いてスランプ試験や コンクリート ミキサー車の解析を行う事で、実際の生コンに近い挙動を再現することができた。
- 品質工学と流動解析を組み合わせる事でミキサー車の各部寸法が排出性能に及ぼす影響を明確にすることができた。
※資料提供 : KYB株式会社 様