ロストワックス鋳造
概要
はじめに
ロストワックス鋳造(LOST WAX CASTING)は、インベストメント鋳造(INVESTMENT CASTING)とも呼ばれる精密鋳造法の一つで、数千年にも及ぶ長い歴史を持っています。また今日でもロストワックス鋳造は、現代産業に欠かせない重要な製造プロセスとなっています。ロストワックス(LOST WAX) 法は従来の鋳造に比べ、格段に高い寸法精度と美しい鋳肌が得られます。また、隣接部分を一体化したような複雑形状の量産も可能です。さらに、チタンをはじめとする高レベル鋼材への対応も可能で、アルミ・亜鉛などの低融点の鋼材を主材料とするダイ・キャストよりはるかに多くの鋼材を選択することができます。
利点
ロストワックス鋳造には非常に多くの利点があり、おもに、
- 初期設備コスト
- 合金選択性
- 材料の繰返し利用
- 設計自由度
- 設計拡張性
- 品質の一貫性・再現性
- 許容誤差
- 表面仕上げ精度
などがあげられます。
適用分野
ロストワックス鋳造はその利点から、複雑形状を持つ多種多様な製品の製造に利用されています。適用分野としては、
- 航空宇宙
- 軍装備品
- 医療機器
- 消費者製品
などがあげられます。
プロセス
ロストワックス鋳造は、一般的に以下の工程に従って行われます。
ワックスパターンの製造
金型設計
CAD/CAMシステムを用いて、ワックスパターン用の金型を設計・製作します。
ワックス注入
製作した金型に溶融したワックスを注入することで、ワックスパターンを製造します。
鋳型の製造
パターン組立て
複数のワックスパターンをワックス製の湯口・湯道に取り付けることで、ワックスツリーを製作します。
鋳型形成
製作したワックスパターンを液状のセラミックに浸し、その後、粉状のセラミックで被膜、さらに乾燥させます。
この工程は、鋳型が所望の厚みとなるまで繰り返し行われます。
デワックス(脱蝋)
形成した鋳型を高圧炉内で加熱することで、鋳型内部のワックスを溶解させ、湯口より流出させます。
鋳造・仕上げ
鋳型焼成
鋳型を摂氏900度から1100度程度で焼成し、残留したワックス等を完全に除去します。またこの工程は、注湯前の余熱も兼ねています。
注湯
重力鋳造法により、鋳型に溶融金属を流し込みます。
型ばらし
金属が十分に冷却・凝固したのちに、鋳型を振動または水圧等によって破壊・除去します。その後、個々の鋳物を湯道から切り出します。
仕上げ
最後に仕上げ加工を行い、鋳造製品が完成します。
資料提供:三重大学 金澤 賢一様・Flow Science社
参考文献
[1] Anderson Global: https://www.andersonglobal.com/tooling/investment-casting/
[2] Post Precision Casting: https://www.postprecision.com/why.html
[3] Protocast JLC: https://californiainvestmentcasting.com/advantages-of-investment-casting/
[4] Castem: https://www.castem.co.jp/lostwax/tech.html
[5] The Bimac Corporation: https://www.bimac.com/key_steps_in_the_casting_process.php
[6] Dal-Air Investment Casting: https://www.dalaircasting.com/investment-castings/the-process/
[7] Investacast: https://www.investacast.com/investment_casting_process.aspx